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群数列の基本がこれに詰まってる!奇数の列を群数列で並べるときの数列の問題

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はじめに

今回は、奇数の列を群数列で並べたときの数列の問題です。

 

この範囲には、特に特有の公式はありません。

今までの等差、等比、階差、シグマなどの知識を活用して解いていく、

いわばちょっとした応用問題となります。

 

しかし、応用問題というのは、大抵の場合解き方が複数通り存在しています。

多くのアプローチの方法を知っておくことは、様々な応用問題を解く際に

とても役に立ちます。

 

今回の問題でも、複数通りの解き方を紹介するので、

色々な方法を考察していきましょう。

 

理解できない解き方ももちろんあるかと思いますので、

そういった場合は、理解できるものから確実に身に着けていきましょう。

 

群数列とは?

まず、群数列とは何か、というところからスタートしましょう。

以下の数列を使って考えていきます。

 

1 ,2 ,2 ,3 ,3 ,3 ,4 ,4 ,4 ,4\cdots

 

この数列は、正の整数が並んでいるだけに見えるかもしれませんが、よく見ると、

 

11

22

33

44

 

のように並んでいるのがわかるかと思います。

そこで、次のように数列を区切って見てみます。

 

1  |  2 , 2  |  3 , 3 , 3  |  4 , 4 , 4 , 4  |  \cdots

 

このようにして見ると、規則性が分かりやすいですね。

数列を上記のように区切って考えたとき、

1 (最初のかたまり)を第 1

2 , 22 つ目のかたまり)を第 2

3 , 3 , 33 つ目のかたまり)を第 3

4 , 4 , 4 , 44 つ目のかたまり)を第 4

のように表現します。

 

このように、数列 a_n をある規則に従っていくつかの群に分けて考えるとき、

これを群数列と言います。

 

では、この群数列について、具体的な問題を見ていきましょう。

 

 

問題

奇数の列(奇数列)を

1  |  3 , 5  |  7 , 9 , 11  |  13 , 15 , 17 , 19  |  \cdots

のように、第 n 群が n 個の数を含むように分けるとき、

 

1)第 n 群の最初の奇数を求めなさい。

2)第 n 群の総和を求めなさい。

 

 

答案の例

1

各群の最初の奇数は階差数列になっている。

各群の最初の奇数を並べた数列を \bigl\{ a_n \bigr\} 、そこから得られた階差数列を \bigl\{ b_n \bigr\} とすると、

 

 b_n=2+2(n-1) 

 =2n 

 

よって、

 

a_n=1+\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}2n  

=n^2-n+1n=1のときも成り立つ)

 ※解説の解き方の②を使用

 

2

n 群の初項は(1)により、

 

n^2-n+1

 

n 群の末項は、第 (n+1) 群の初項から 2 を引けばいいため、

 

n^2+n-1

 

さらに項数は n であるため、

 

\displaystyle \dfrac{1}{2}n(n^2-n+1+n^2+n-1)

=n^3 

 ※解説の解き方の②を使用

 

解説

1

<解き方①:第 (n-1) 群までに奇数が何個使われているのかを考える>

まず、いきなり第 n 群について考えると混乱してしまう可能性があるので、

例えば「第 3 群の最初の奇数」から考えて、イメージを掴んでいきましょう。

 

3 群の最初の奇数は、問題で与えられている通り、 7 ですね。

これは奇数列で考えると 4 番目の奇数となります。

1,3,5,7,9  \cdots という列の 4 番目が 7 になっていますね)

 

では、この 4 番目という番号は、どのように求めているのでしょうか?

 

今回の例では見ただけですぐにわかりますが、第 n 群について今後

考えていくことを考慮し、規則性を見つけていきます。

 

3 群の最初の奇数を知りたい場合は、第 2 群までに奇数が

何個使われているかを考えます。

 

つまり、 1,3,53 個です。

 

2 群までに奇数が 3 個あるのであれば、第 3 群の最初の奇数

は、それに 1 を加えた 4 番目の奇数ということになりますね。

 

同様に、例えば第 3 群までには 6 個の奇数が使われていますので、

4 群の最初の奇数であれば、それに 1 を加えた 7 番目の奇数

を求めればいいということになります。

 

これらのことをまとめると、ある群の最初の数が何番目なのかを知りたい場合は、

 1 つ手前までの群で使われている数の合計に+1 をすればいい

ということになります。

 

さて、では今回の問題である、「第 n 群の最初の奇数」が奇数列での何番目

なのかを知りたい場合は、どう考えればよいのでしょうか?

 

n 群の 1 つ手前の群とは、第 (n-1) 群ということになります。

まずはこの群までにいくつ奇数が使われているかを考えるのです。

 

1 群には奇数は 1 個、

2 群には奇数は 2 個、

3 群には奇数は 3 個、

(n-1) 群には奇数は (n-1)

 

使われていますので、それらの合計は、

 

 1+2+3+ \cdots +(n-1)

 

となります。

 

項数が n であれば、 \dfrac{1}{2}n(n+1) でしたが、今回は項数が 

 (n-1) なので、この式の n の部分が (n-1) となり、

 

 \dfrac{1}{2}(n-1)\bigl\{(n-1)+1\bigr\}

 =\dfrac{1}{2}n(n-1)

 

となります。これが第 (n-1) 群までに使われている奇数の合計なので、

n 群の最初の奇数は、奇数列での

 

 \dfrac{1}{2}n(n-1)+1

 

番目の数ということになります。

 

また今回、奇数は 1 からスタートしていますので、

一般的な奇数の表し方は 2n-1 となります。

 

 2n+1 とすると、n=1 (初項)のときに 3 が出てきてしまいますね。

 

この 2n-1 というのは、 n 番目の奇数を表しています。

よって、\bigl\{ \dfrac{1}{2}n(n-1)+1\bigr\} 番目の奇数を知りたいのであれば、

n の部分に \dfrac{1}{2}n(n-1)+1 を代入し、

 

 2×\bigl\{\dfrac{1}{2}n(n-1)+1\bigr\}-1 

 =n(n-1)+2-1

 =n^2-n+1

 

という結果となります。これが、第 n 群の最初の奇数となります。

 

<解き方②:各群の最初の数を見て、規則性を見つける>

解き方①では、 1 つ前までの群に何個の奇数が使われているかを数えました。

 

しかし、第 n 群の最初の奇数を知りたいだけなのであれば、

各群の最初の奇数だけに焦点を絞り、それらの規則性がわかれば

n 群の最初の奇数はすぐにわかるはずです。

 

各群の最初の奇数は、以下のようになっています。

 

1 群の最初の奇数 \cdots  1 

2 群の最初の奇数 \cdots  3

3 群の最初の奇数 \cdots  7

4 群の最初の奇数 \cdots  13

 

これらの数の規則性を考えると、

 

 1 から 3 へは +2

 3 から 7 へは +4

 7 から 13 へは +6

 

となっており、同じ数だけ足されているわけではありませんが、

足されている数である 246 には、 +2

ずつされているという規則性があります。

 

このように、足されている数(もしくはかけられている数)を新たな数の列

とみなす場合、これを階差数列と呼びました。

 

今回、

 2,4,6,  \cdots

という階差数列には、初項が 2 、公差が 2 の等差数列になっている

という特徴があるので、 等差数列の公式により、

 

 2+2(n-1) 

 =2+2n-2

 =2n

 

となります。よって、この階差数列を使ったもとの数列の一般項は、

 

1+\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}2n  

=1+2\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}n

=1+2×\displaystyle \dfrac{1}{2}n(n-1)

 ※ \displaystyle \sum_{k=1}^{n}n の公式において、項数が (n-1) になって

  いるため、結果の\displaystyle \dfrac{1}{2}n(n+1)n の部分に

   (n-1) を代入した式となっています。

=1+n(n-1)

=n^2-n+1

 

となります。

 

これは、 n\geqq2 のときに成り立つ式なので、 n=1 のときに

成り立つかどうかを確かめなければなりません。

 

 n=1 のとき、

1^2-1+1 

=1

なので、第 1 群の最初の数である 1 と一致していますね。

これにより、 n=1 のときも成り立つことがわかります。

 

そしてこの一般項は、各群の最初の数をとって数列を作っていたので、

n 項である n^2-n+1 が、第 n 群の最初の奇数という

ことになるわけです。

 

2

<解き方①:第 n 群までの和から、第 (n-1) 群までの和を引く>

例えば、1,3,5,7,9,11,13 までで考えたとき、7 から 13 までの和を知りたい

場合、

 

1 から 13 までの和)ー(1 から 5 までの和)

 

を考えれば、答えを導くことができますよね。

これと同じことを行っていきます。

 

つまり、まずは最初の奇数である 1 から第 n 群の最後の数までの和

を計算します。

次に、1 から第 (n-1) 群の最後の数までの和を計算します。

これらを引くことで、第 n 群のかたまりのみの和を求めることができるわけです。

 

では、実際にやっていきます。

 

n 群の最後の数は、第 (n+1) 群の最初の数から 2 を引けばいい。

 ※奇数の列について考えているので、 1 つ手前の数は 2 を引く

 

(n+1) 群の最初の数は、(1)の答えの n の部分に (n+1) を代入すればいいので、

 

(n+1)^2-(n+1)+1

=n^2+2n+1-n-1+1

=n^2+n+1

 

となります。

さらに、この数から 2 を引き、

 

=n^2+n-1

 

という式が、第 n 群の最後の数となる。

 

足し合わせる数列の初項と末項が分かったので、和の公式を使うためには、

あとは項数が必要ですね。

 

項数は、第 n 群までに奇数がいくつ出てきているかを考えればいい。

各群にはそれぞれ、 1 個、 2 個、 3 個、 \cdotsn

だけ奇数が含まれていますので、それらの合計は、

 

 1+2+3+ \cdots +n

=\displaystyle \dfrac{1}{2}n(n+1)

 

ということになる。よって、これらの情報を和の公式に当てはめ、

 

\displaystyle \dfrac{1}{2}× 項数 ×( 初項 + 末項  ) 

=\displaystyle \dfrac{1}{2}×\Bigl\{ \displaystyle \dfrac{1}{2}n(n+1) \Bigr\}× (1+n^2+n-1)

=\displaystyle \dfrac{1}{4}n(n+1)(n^2+n)  \cdots

 ※あとで整理するため、計算をここで止めておきます。

 

次に、第 (n-1) 群までの合計を計算します。

 

(n-1) 群の最後の数は、第 n 群の最初の数から 2 を引けばいい。

 

n 群の最初の数は(1)で求めたため、その答えから 2 引き、

 

n^2-n-1

 

となります。

 

項数については、(n-1) 個までの合計なので、

 

 1+2+3+ \cdots +(n-1)

=\displaystyle \dfrac{1}{2}n(n-1)

 

ということになる。つまり、第 (n-1) 群までの和は、

 

\displaystyle \dfrac{1}{2}× 項数 ×( 初項 + 末項  ) 

=\displaystyle \dfrac{1}{2}×\Bigl\{ \displaystyle \dfrac{1}{2}n(n-1) \Bigr\}× (1+n^2-n-1)

=\displaystyle \dfrac{1}{4}n(n-1)(n^2-n)  \cdots

 

最後に、①から②の式を引き、

 

\displaystyle \dfrac{1}{4}n(n+1)(n^2+n)-\displaystyle \dfrac{1}{4}n(n-1)(n^2-n) 

=\displaystyle \dfrac{1}{4}n \Bigl\{ (n+1)(n^2+n)-(n-1)(n^2-n) \Bigr\} 

 ※\displaystyle \dfrac{1}{4}n でくくった

=\displaystyle \dfrac{1}{4}n \Bigl\{ (n^3+2n^2+n)-(n-1)(n^2-n) \Bigr\} 

 ※ (n+1)(n^2+n) を展開した

=\displaystyle \dfrac{1}{4}n \Bigl\{ (n^3+2n^2+n)-(n^3-2n^2+n) \Bigr\} 

 ※ (n-1)(n^2-n) を展開した

=\displaystyle \dfrac{1}{4}n(4n^2) 

 ※中かっこの中を整理した

=n^3 

 

<解き方②:第 n 群の中だけで初項と末項を考えて和を計算する>

n 群の総和を聞かれているので、純粋にn 群の中の数を

すべて足し合わせるだけでもいいはずですね。

 

n 群の初項は(1)により、n^2-n+1

n 群の末項は<解き方①>により、n^2+n-1

項数は、第 n 群の中の数だけを数えるため、 n 個となります。

 

これにより、

 

\displaystyle \dfrac{1}{2}n(n^2-n+1+n^2+n-1)

=\displaystyle \dfrac{1}{2}n(2n^2)

 ※かっこの中を整理した

=n^3 

 

おわりに

今回は、奇数の列を群数列で並べたときの数列の問題でした。

 

記事の問題に対して質問がある方はいつでもご連絡ください。

また、オンラインで家庭教師も可能です。

詳しくは下記の問い合わせフォームからご連絡ください。

いつでもお待ちしております。

 

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